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休日、ゆったりとした気分で音楽を楽しみたい。そこに合わせる素敵な一杯とは? そんな音楽とお酒のマリアージュを楽しむ連載。第15回目は、東京を代表するヴィーガン料理のお店『ORGANIC TABLE BY LAPAZ (オーガニック テーブル バイ ラパス)』のマネージャーであり、DJとしてもナイスなグルーヴを生み出している今井慎治さんにセレクトしていただきました。
樹齢400年のぶどうから生まれる驚きの体験
ギオルギ・ナテナゼ
メスクリ 2018
秋晴れの気持ちいい日に、軽やかに飲みたいワインといえばこのジョージア(グルジア)のクヴェヴリワインです。まずはラズベリーのような美しい色を目で楽しみ、グラスを近づけると強烈なベリー系の香りが感じられる。そして、ひと口飲んだ瞬間にワイルドチェリーのような驚きの味わい、それでいて野生のハーブのような複雑さもある。初めて飲む人は皆さんびっくりされます。個人的には、そのすべてを味わいたいのでワイングラスで飲みたい。そう考えると、アウトドアというよりは家でゆっくり飲むのがいいかもしれません。
しかも、これは樹齢400年のぶどうの木で造られているんです。その木は国立公園内にあり、採取できるのはギオルギ・ナテナゼという造り手のみ。彼は映画『ジョージア、ワインが生まれたところ』でも主役的に登場し、絶滅されたと思われていたぶどうを復活させていたり、クヴェヴリワインという伝統的な製法も含め熱心な活動をされている方なんです。というのも、ジョージアはワイン発祥の地とされ、その歴史は紀元前6000年頃からと言われています。
そんな歴史を知ると、フルボディの重たいワインのように感じますが、とてもフルーティで飲みやすく奥深い。ラベルもアバンギャルドで面白いですよね。
オーガニックに心が躍るエレクトロニック・サウンド
Chari Chari
『We hear the last decades dreaming』
ジョージアの軽やかでいて伝統的なワインに合わせたいのは、DJ/プロデューサーである井上薫さんによるChari Chari名義の一枚です。今年の7月に発売された18年ぶりのアルバムは、現代音楽やミニマル音楽、民族音楽、アンビエント、ニュー・エイジなど、あらゆるエッセンスが溶け出した井上薫さんらしさが詰まっています。大雑把に言ってしまえばエレクトロニック・ミュージックですが、その枠に収まらないアダルトなサウンド。
どの曲も素晴らしいのですが、あえて選ぶとすれば「Luna de Lobos」です。10分くらいあるエクスペリメンタルな曲ですが、浮遊感があって気持ちよく、のんびりできるのに心が踊るようなサウンド。休日にゆったりしつつも自然とウキウキしてくるので、充実した時間が過ごせるんです。樹齢400年のぶどうの木に思いを馳せながら、未来を夢見るには最適です。
素晴らしい文化を未来へとつなげていくバトン
マリアージュのポイントとしては「未来への継承」ですかね。ワイン生産者のギオルギ・ナテナゼさんは伝統的なぶどうの木と製法を守ることで、自分たちの文化を未来へとつなげていく活動をされている。井上薫さん(Chari Chari)もまた。伝統的なお祭りの音だったり、過去の偉大な音楽に影響を受けながら新しいものを生み出している。
そんな両者を味わいながら過ごしていると、「バトン」をつないでいくことの重要さを感じるんです。
アートの企画展や画廊運営にたずさわったのち、映像制作やイベント演出を中心とする制作会社へ。その後、とあるBARで来日中のジョージア人夫婦と仲良くなり、同国のクヴェヴリワインとライフスタイルを知る。2017年、約1ヶ月間ジョージアへ渡航しワインが生まれた国の歴史に触れ合う。帰国後、『ORGANIC TABLE BY LAPAZ』に立ち、世界中の食文化、思想、宗教、国籍といった垣根を超える食事の選択肢として、VEGAN/ PLANTS BASED FOODを提供。同時にジョージア文化を紹介し、現在はジョージアの大統領も来店するほど親交を深めている。
・店舗名/ORGANIC TABLE BY LAPAZ(オーガニック テーブル バイ ラパス)
・住所/東京都渋谷区神宮前3-38-11原宿ニューロイヤルビル1F15号
・電話/03-6438-9624
・営業時間/11:00~19:00(フードL.0.18:00、ドリンクL.O.18:30)
・定休日/月曜、火曜
・オフィシャルサイト/https://www.lapaz-tokyo.com/
・インスタグラム/https://www.instagram.com/organic_table_by_lapaz/