ARBAN

【竹内アンナ インタビュー】最新E.P『at FOUR』に込めた「私の新たなスタート」

竹内アンナ 2

米ロサンゼルス生まれ・京都在住の竹内アンナは現役大学生のシンガーソングライター。キュートでフレッシュな若者らしさを覗かせる一方、ひとたびギターを握れば、同年代から耳の肥えた音楽通をも唸らせる。

 

そんな竹内アンナの最新E.Pat FOUR』が10月7日(水)にリリースされた。今年3月発表の 1stアルバム『MATOUSIC(マトージック)』以来のリリースとなる今作は、新型コロナウイルスの渦中に作られた作品。未曾有の事態の只中で、彼女は何を思い、今作の制作に至ったのか。 本人から直接話を伺った。


1stアルバムを経て、新たなサウンドを提示したい

——コロナの自粛期間中は、どうされてたんですか?

大学もリモートになっちゃったので、基本ずっとおウチにいたんですが、最初の一か月ぐらいは昼夜逆転しちゃってて。ダメな人間の生活をしていました(笑)。自粛期間中は、普段手を出せなかった本とかアニメとか漫画とか見漁ったり、ゲームしたり。そういう音楽とは別の好きなものにも支えられてました。

——アニメや漫画も好きなんですね? 

大好きです! イッキ見ばかりしてました(笑)。『鬼滅の刃』とかも好きで、 時透無一郎くんのグッズも買ったりして結構貢いでますね(笑)。 

——at FOUR』の楽曲は自粛期間中に作ったとか?

 そうですね。全部で5曲入っているんですが、「Love Your Love」「Striking gold」「+imagination」の3曲は自粛期間中に作りました。

——at FOUR』は『at』シリーズの4作目ですが、今作はどんな作品ですか?

at』シリーズ(注1)は「色んな竹内アンナの一面を見てもらいたい」っていう想いのもと作っていて。今回の『at FOUR』では、1stアルバムの『MATOUSIC』を経て、みなさんに提示したい私の新しいサウンドを詰め込んでいます。

注1=竹内アンナのE.Pシリーズ。左から『at ONE』(2018年)『at TWO』(2019年)『at THREE』(2019年)

——コロナ禍という特殊な状況にインスパイアされた曲もあるんですか?

 それが特に出てるのが、3曲目の「+imagination」っていう曲です。私はおウチの中にずっといて「早く外に出たい」と思ってる。一方で、外で働いてる方は「ウチに居たい」と思っている。何にでも裏側/反対側があることを感じて「自分が今見てるものだけが正解ではないんだ」って。 反対側を想像することを「忘れちゃいけない」っていう想いを込めて「imagination」の前に「+(プラス)」を付けてるんです。

——この曲は今作で唯一のダンスミュージック調ですね。出だしの韻の踏み方も最高です。

今回のE.Pの中では、割と尖った曲になってるかな~と思ってます。プロデューサーさんにも「もっとゴリゴリにしてください」って都度お願いしたり(笑)。出だしは、かなり無理やりなんですけど、「イマジネーションと何かで韻を踏みたいな~」と思って言葉を探したんです。

私ひとりだったら絶対に作れなかった

——Love Your Love」にはどんなメッセージが?

この曲は、もともと「J-WAVE」のタイアップソングとして書き下ろした曲なんです。「音楽愛とかポジティブなメッセージで」という要望をいただいて。「好きなものを好きでいること」をテーマに書きました。

 「好き」っていうのは〈人〉でも〈もの〉でも良いんですが、私も含め、聴いてる人が「好きだ」と思っているものを信じ続けて欲しい。「そのまま好きでいいんだよ」っていう全肯定ソングになっています。

 あと、ラジオのタイアップというのもあって、言葉や歌い方、ラジオ越しに聴いた時に、思わず耳を傾けてしまうような距離感をすごく意識しました。

——Striking gold」はママズ・ガンのアンディ・プラッツとの共作だそうですが、これはどんな経緯で?

 私がママズ・ガン(注2)のファンで、去年、彼らの来日公演を観に行ったんです。関係者とかじゃなく、お客さんとして。せっかくなら「写真撮りたいな」と思って、CD買って、列に並んで、メンバーのみんなと写真を撮ってもらって。本当にただのファンですね(笑)。

その写真をSNSにアップしたら、偶然ママズ・ガンの関係者の方が見つけてくださって「良かったら一緒にやりませんか?」っていうお話をいただいたんです。

注2:ママズ・ガン(Mamas Gun)=シンガー/コンポーザー/プロデューサーのアンディ・プラッツを中心とした英ロンドンを拠点に活動する5ピースバンド。ブラック・ミュージックからポップスまでを横断するモダンソウル・サウンドで人気を博す。

——共作のプロセスは?

 基本はメールのやり取りです。制作は完全にリモートで、大体3回ぐらいの短いやり取りで完成しました。最初は、私のデモのいくつかと一緒に「ママズガンのこの曲が好きです」「こういう雰囲気の曲にしたいです」っていうメッセージを送って。

しばらくして返ってきたアンディのデモが、ほぼほぼ今の形で。プロデューサーの方とも「めっちゃ良いじゃん!」と話していて。そのデモに、私がメロディーやギターを足したり、ちょっとコードを変えたりして完成したって感じです。

——海外の方とのコラボはこれが初めて?

クリエイターではなく、アーティストの方と一緒に曲を作ることは初めてでした! アンディのデモを聴いたときも「私ひとりだったら絶対作れなかった」「一緒に作ることって楽しい」と思ったし、今後もコラボは積極的にやっていきたいですね。

——Sunny day」はライブの定番曲だそうですが、今までリリースしなかったはなぜ?

 特に理由はないんです(笑)。今回この曲が一番最後に入ることが決まったんですが、ほかの4曲がモリモリだったので「1曲、アコースティックなものが欲しいよね」「だったらこれ入れようよ」って。

—— I My Me Myself」のリミックスは原曲とは大分違いますが、これはアンナさんの要望ですか?

これは Schroeder-Headz(シュローダーヘッズ)の渡辺シュンスケさんにお任せしたんです。もともと「Schroeder-Headz &竹内アンナ」でいくつかライブの予定があったんですが、この春から全部なくなっちゃって。ただ準備は進めていて、そのときの一曲が、この「 I My Me Myself」のリミックスなんです。

シュンスケさんのライブのデモが、めちゃくちゃカッコ良くて! 自分でも「この曲にこんな一面があるんだ」って驚いたんです。それで「これ絶対みんなに聴いてもらいたい!」と思って、今回収録させてもらうことを正式にお願いしました。

——at』シリーズの過去3作では、TLCなど毎作カバー曲が入ってましたが、今回は入れなかったんですね?

MATOUSIC』前の3作は〈第1章〉 というか。今回の『at FOUR』は、ひとつの区切りをつけた〈新たなスタート〉っていう意味での作品なんです。もちろんカバーを入れても良かったんですけど、私の曲を別の方にリミックスしてもらうっていう、新しい形にトライしたかったんです。

俳句やアイドルソングからも影響された

——『at ONE』から今回の『at FOUR』までをふり返って、ご自身で変わった/成長したと思う点は?

 B.M.B」(注3) という曲あたりから、歌詞の書き方に変化があったんです。『プレバト』っていうテレビ番組の俳句コーナーが好きでよく観るんですが、言葉の選び方とかは、その番組から影響を受けた部分もあるかも(笑)。

私はメロディ先行で曲を作るんですが、決められた字数の中に言葉を当てはめていくのが、俳句の「五・七・五」と似ているなと。番組で俳句の先生が「この言葉があればこの言葉はいらない」とか「ここはあえて変なとこで切ってみる」とか、結構厳しい査定をするんです。そういうのを思い出したりしながら自分の歌詞にフィードバックすることもありますね

注3:B.M.B」=1stアルバム『MATOUSIC』収録曲

——サウンド面ではどうでしょう?

ハウスとかのダンスミュージックを聴くようになったのとか。よくアイドルの育成ゲームをやるんですが、そこで流れてるようなアイドルらしいストレートな曲って、今まで意外と触れてこなくて。真っ直ぐな潔さとか、わかりやすい言葉とか、合いの手を入れやすいサウンドとか。そういう、わかりやすい J-POP やアイドルソングにもすごく影響を受けてます。

——ジョン・メイヤー好きはよく公言されてますが、本当に色んな音楽を聴くんですね。

本当に何でも聴くんですよ。洋楽もハウスも、J-POPもK-POPも、日本のヒップホップも大好き! ラッパーのBIMさんが最近出したアルバムとか、韓国系ラッパーのJay Parkとかもめっちゃ聴いてます。

——最近挑戦していることはありますか?

エレキギターを割りとちゃんと弾き始めました。エレキもやることで、アコギにフィードバックされることってたくさんあることに気付いたので。あと、ギターのお師匠からの課題で、ギタリストのロニー・ジョーダンがカバーしてる、マイルス・デイビスの「So What」の完コピを頑張ってます!

 

お客さんがいるのって全然当たり前じゃなかった

——8月には「Music Gate」で無観客でのライブ配信をされてました。お客さんがいない状況に戸惑いませんでしたか?

 無観客のライブって、正直どうすれば良いのかギリギリまで分からなかったんです。でも画面の向こうでは観てくれてる人がいるし、「いつも通り楽しくやろう」って割とすんなり切り替えられました

——すごいですね。でもMCとかやり辛そう…。

たしかに。お客さんがいないから、どれだけ喋っても、ずっとスベり続けてる感じはありました(笑) 。関西人としては「これは、どうしよう!」って。「別にそんなオモロイこと言ってへんけどスベってる~」って(笑)。

でも、あとで Twitter を見たら、みんなちゃんと反応をくれてたし、こういう新しい形にも早く慣れていけたらなって思ってます。配信ライブにしかない可能性もたくさんあると思うし、今後も積極的にやっていけたらなって。

——延期されてた『MATOUSIC』リリース・ツアーもいよいよですね

そうですね! ようやく。アルバムはもちろん『at FOUR』からの曲もできたらと思ってます。本当はバンドセットの予定だったんですけど、今回は、全部ソロ公演になってしまって。でも、バンドセットも配信ライブって形で後々やるつもりです。

——久々にお客さんを前にする心境は?

9月の「大阪城野音」で、久しぶりにお客さんの前でライブをやったんですけど、舞台袖からお客さんの姿を見て「うわ~、いる~!」ってなりました(笑)。出る前はもちろん緊張するけど、ステージに立ったら楽しいって気持ちが勝っちゃいます!  

今までライブって、お客さんがいて当たり前だと思ってたけど、全然当たり前じゃなかった。そういうことを改めて実感しましたね。


【リリース情報】

竹内アンナ『at FOUR』
■発売:10月7日(水)
■価格:1,819円 +税
TECI-1703
https://takeuchianna.com/disco/
<収録曲>
1. Love Your Love
2. Striking gold
3. +imagination
4. Sunny day
5. I My Me Myself (Schroeder-Headz Remix)


【ツアー情報】

2020/11/11(水) 愛知県
■場所:名古屋 SPADE BOX
■開場/開演:開場 18:30/開演 19:00
■料金:前売¥3,700+D
■お問い合わせ先:SUNDAY FOLK PROMOTION (052-320-9100)
■発売日:10/10(土)
https://takeuchianna.com/news/#90881

2020/11/12(木) 大阪府
■場所:梅田 TRAD
■開場/開演:開場 18:30/開演 19:00
■料金:前売¥3,700+D
■お問い合わせ先:キョードーインフォメーション (0570-200-888)
■発売日:10/10(土)
https://takeuchianna.com/news/#90882

2020/11/16(月) 東京都
■場所:渋谷 CLUB QUATTRO
■開場/開演:開場 18:30/開演 19:00
■料金:前売¥3,700+D
■お問い合わせ先:HOT STUFF PROMOTION (03-5720-9999)
■発売日:10/10(土)
https://takeuchianna.com/news/#90883

ARBANオリジナルサイトへ
モバイルバージョンを終了