今年8月、ドイツ・ライプツィヒのコンサート・ホールに約2000人を集め、満員の会場で新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の拡散状況を調べる実験を実施。その結果がこのたび発表された。
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「Restart-19」とは
この実験プロジェクト「Restart-19」は、ドイツのハレ大学(マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク)の科学者たちによって実施。屋内コンサートの再開に向け、感染リスク軽減のガイドラインの作成を目的に発足した。
このプロジェクトの参加者は、18〜50歳までのボランティア。参加者は、公演の48時間前に PCR 検査を受け、当日はフェイスマスクや蛍光塗料入りの消毒剤、来場者間の距離や接触頻度を測定するためのデバイスが配布された。
実験は、以下3種のコンサート会場を再現して行われた。①コロナ前のイベント状況を再現した回 ②衛生面の改善とソーシャルディスタンスを確保した回 ③人数を半分にし、ソーシャル・ディスタンスを確保した回
「Restart-19」の実験結果
実験結果によれば、ガイドラインにそって十分な換気を施し、収容人数に制限を設けた場合、屋内コンサートで新型コロナが広がるリスクは「低い〜非常に低い」ということだった。
この実験で、換気による空気の循環がウイルス拡散を制限する上で特に重要だったことも判明。例えば、ジェットノズルが会場に新鮮な空気を送った場合と、ジェットノズルをオフにし、屋上などから換気をおこなった場合では、後者の方が明らかに拡散の可能性が高かったという。
さらに研究では、ソーシャルディスタンスがエアロゾル(空気中に漂う微細な粒子)感染のリスクを減らす重要な要因であることにも触れている。
なお、英国王立医学協会の疫学/公衆衛生医の Gabriel Scally 博士は、この研究の結果を「潜在的に“有益”である」としたが、「通常のイベントで、この環境を再現するのは難しいかもしれない」と付け加えた。
査読前ではあるが、今回の実験結果はオンラインで公開されている。
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.10.28.20221580v1.full.pdf