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【meiyo インタビュー】その時に好きな曲を作るだけ — 変幻自在のスタイルを操るマルチ・アーティスト

ツイッターに投稿された打ち込みの楽曲がバズる。ノン・ミュージシャンによるお遊び的な作品かと思いきや、そのキャリアを掘り下げていくと、ドラマーとしての確固たるキャリアと、ソロ・アーティストとしての活動歴も見えてくる。作品の形態は、バンドサウンドからギターの弾き語り、そして打ち込みまでと多彩。”meiyo”という、つかみどころのないアーティストはいま何を考えているのか。話を聞いた。

音作りの原点は、小学校の頃のゲーム・ミュージック

──いろいろな活動をされていますが、この”meiyo”というお名前は、ソロ・プロジェクト名義ということでよいのでしょうか?

もともとは本名の”ワタナベタカシ”でやっていたのを”meiyo”に改名したんです。meiyoという名前を使うのは、自分が主役のときですね。なので、楽曲提供やドラム叩くだけのときはいまだにワタナベタカシだったり。あまり深く考えたことなかったんですが(笑)。
──”meiyo”という名前の由来は?

まだワタナベタカシで活動してたときに、カメラマンの方がつけてくれたんです。meiyoって中国語で「没有」って書いて、「〜しない」という意味なんですけど。ちょうどCDを出すことが決まっていて、そのタイトルも同時に決めようとしていたんです。それが『羊の皮をかぶった山羊』(2018年)なんですけど、その時に「ワタナベタカシじゃ、なんかイヤだよね」って話になって改名することにしました。

──その『羊の皮をかぶった山羊』はバンド編成による作品でしたが、それ以降は作品ごとに弾き語りだったり、打ち込みだったりとスタイルが変わっていきます。

そのタイミングごとに、ただ好きな曲を作ってるんです。1stの時はプロデューサーがいたので、自分の意志だけじゃないところもあるんですけど、その後は完成したらそのまま配信していました。「とにかく出さなきゃ」みたいな感覚がずっとあったんですよ。

──meiyoさんの楽曲は、ツイッター経由で広まることが多いようですね。

自分から「聴いてください!」って広めちゃうんですよ。今年の夏に前澤(友作)さんの企画*で、僕の動画が拡散したことがあって、それがきっかけでいろんな人に聴いてもらえたのかな。
*ZOZOTOWNの元社長、前澤友作がツイッター上で「日本を元気にしそうな歌」を募集。meiyoも「Konichiwa Tempra Sushi Natto」で参加し話題となった。

──その曲あたりから作風が混沌としてくるわけですね。

3曲入りの「Madeal」(2019年)ってEPがあって、これに収録した「いつまであるか」っていう曲ができたときに、バンド・スタイルでは究極の曲ができちゃったっていう感覚があったんですよ。その直後に「Konichiwa Tempra Sushi Natto」を作ったんですけど、あまりに作風が違いすぎて、いつ出そうか迷っていて。その後の「溶ける青春」(2020年)も実は19年に作った曲をリアレンジして20年のバレンタイン・デーに出した企画モノ。「ひとりmeiyo」はコロナが始まって、生配信しながら曲を作ろうっていう感じで、弾き語り。それでようやくその後に「KonichiwaTempraSushiNatto」が出せたんです。
──でも、ここからmeiyoとしての世界観が明確になっていったような印象があります。すこしコミカルな味も出てきて。

そうかもしれません。僕、小学生の頃に「ポップンミュージック」っていうゲームが大好きだったんですけど、そういうのが(感覚として)いちばん先にあるんですよ。こういう曲はまったく作ったことがなかったし、ここまで打ち込みをやったのも初めてだったんですけど、これは良さそうだって思ったんです。

“ワタナベタカシ”名義ではできなかったこと

──今年の10月に発表された楽曲が……「ヒルナンデス」というタイトルなのにも驚きました。

同名の情報番組で、オープニング・テーマを募集していたんです。僕も応募したんですけど、落選しちゃって。でも動画をアップしたら、それが伸びたんですよ(笑)

──その後が最新曲の「うろちょろ」ですね。こちらも、アートワーク含め思い切った楽曲ですね。

いままでのバンド路線よりも「KonichiwaTempraSushiNatto」の方が良いっていう意見も多くて。でも、バンド路線も捨てたわけじゃないんだよな……ってところで葛藤して(笑)。一旦「Konichiwa〜」の方に寄せて作ったのが「うろちょろ」です。音数を減らしていくのが大変でした
──これはPVも面白いですよね。

これは葛飾出身さんっていう映像作家の方に作ってもらいました。葛飾さんはツイッターに動画の日記をアップしてるんですが、それがすごく好きで。知り合いでもないのに、DMを送って「MV作ってください!」ってお願いしました(笑)。曲と映像を同時進行で作ってるようなギミックを入れたいなと思って、歌詞と映像がリンクするようにしてます
──この曲こそワタナベタカシの名前ではできなかったことですね。

そうですね。ワタナベタカシだったらこれは作ってないかもしれない。でも、大事なのはバランスですよね。バンドの曲もあれば打ち込みの曲もある。どちらでも付き合える友達みたいな曲ができていったらいいんですけど……それができるかどうかは僕次第ですね(笑)。

meiyo
2015年、自ら演奏・歌唱・作詞・作編曲をおこなうドラム/ボーカルの「ワタナベタカシ」として活動開始。 2018年、meiyo(メイヨー)へと改名。 どこか懐かしさを感じるメロディ・ラインで、 時代に忘れ去られたアイロニカル・パワーポップの啓蒙活動をおこなう。 侍文化・POLLYANNA・HGYM・コナミのメディアミックスプロジェクト「バンめし♪」など、音楽家として様々なプロジェクトにも参加。12月16日には、新曲「机上の空論」を発表する。
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