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佐々木俊尚(作家/ジャーナリスト)が選ぶ2020年のベスト3枚

佐々木俊尚
作家 / ジャーナリスト
毎日新聞社などを経て2003年に独立し、テクノロジーから政治、経済、社会、ライフスタイルにいたるまで幅広く取材・執筆・発信している。「時間とテクノロジー」「そして、暮らしは共同体になる。」「キュレーションの時代」など著書多数。Twitterのフォロワーは約78万人。

羊文学
『Powers』

パンデミックというまったく現実感のない2020年世界に生きていて、わたしたちの存在や人との関係なんてしょせんは曖昧で幻想みたいなものじゃない?と歌う羊文学は、まさにこの後世にのこる年の音楽だったのだと思う。「ロックスターもほんとは怖いって泣いてる」と、言葉になっていない無意識の中の思考に歌詞が与えられ、流れ出てくる感覚。


17歳とベルリンの壁
『Abstract』

この不思議な名前のグループは、昨年夏に新代田FEVERに台湾の「I Mean Us」を聴きにいった時に出演していて初めて知った。以前はもっとノイズの強いシューゲイザーで温度が低い感じだったんだけど、このミニアルバムは音がクリアに立体的になり、すごくポップになった。今年いちばんの美しい作品。


Uzi Navon & Acquaintances
『בזמנו』

Musica Terraを運営してる@lessthanpandaさんから教えてもらったイスラエルのグループ。「1970年からタイムスリップしてきた」とみずから主張していて、まさにあの時代のファンクやロックのエッセンスを詰め込んだような音がたまらなく痺れる。40年前の松原みきの楽曲がいま世界で大ヒットしているように、音楽の時代性というものはもはや失われ、すべての時代の音がフラットにそこに存在する2020年。

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