投稿日 : 2020.12.28
村尾泰郎(ライター/エディター)が選ぶ2020年のベスト3枚
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ライター/エディター
音楽と映画を中心に『ミュージック・マガジン』『CINRA.NET』『Real Sound』など様々な媒体に執筆。CDのライナーノーツや映画のパンフレットなどにも寄稿する。
2020年は、「ステイホーム」な日々で印象に残った3枚を選びました!
attc vs Koharu
『縁かいな 〜Bring Us Together〜』(box set)
端唄や民謡を唄う音曲師、柳家小春。ロックステディ・バンド、attcの5年間の交流から生まれたコラボレート・アルバム。レゲエ、アフリカ、ニューオリンズなど、多彩な音楽を消化したバンド・サウンドに小春姐さんの小粋な三味線と歌がのる。CDに7インチ・シングルや分厚いブックレットが付いたこの風流なセットが、コロナの真っ只中にリリースされたことは忘れられない。春の昼下がり。このアルバムを聴きながら、ぼんやり青空を見上げていた。
AKSAK MABOUL
『FIGURES』
クラムド・ディスクを主催するマルク・オランデルの伝説的ユニットが、40年ぶりにリリースした新作。ワールド・ミュージック、ジャズ、エレクトロなど、ジャンルを自在に横断する軽やかさ。実験的でありながら遊び心たっぷりのポップ・センスなど、そのユニークな個性は変わらない。むしろ、ますます自由になった気がする。分断やステイホームで内向きになる日々の中で、この外に開かれた豊かな音楽が心地良かった。
Randy Newman
Marriage Story (Original Music from the Netflix Film)
今年は家にいることが多かったので毎日映画を観た。そのなかで、サントラが印象的だったのが『マリッジ・ストーリー』。スコアを手掛けたのはランディ・ニューマンで、いつもとは趣を変えて小編成のアンサンブルだが、その親密さが良い。監督のノア・バームバックが脚本を送った翌日、早くもランディはピアノ曲を書き上げてノアに送り、それを聴いたノアは感動して泣いたとか。慎ましやかなメロディーに感情の機微がさらりと描かれている。