投稿日 : 2021.02.12
ジャズ・ピアニストの「巨匠」チック・コリア死去─ ジャンルの可能性広げ グラミー23回受賞
米ジャズ・ピアニストの「巨匠」チック・コリアが9日、南部フロリダ州タンパの自宅で死去した。79歳だった。詳しい死因は明らかにされていないが、最近珍しいタイプのがんと診断されていた。1960年始めのデビュー以来、フュージョンやクラシックのミュージシャンとも演奏活動を行うなどジャンルの垣根を越えて活動。音楽界に多大な功績を残し、米音楽界最高の栄誉「グラミー賞」を23回受賞した。
日本との縁も深く、何度も来日公演を実施。上原ひろみ、小曽根真など日本人アーティストと共演したほか、コロナ禍の昨年8月にはNHKの特別番組に出演、福島県の高校吹奏楽部の若者とオンラインによるワークショップを行った。
1941年6月、東部マサチューセッツ州チェルシー生まれ。父親はトランペット奏者で、4歳の時にピアノを、8歳でドラムを習い始め、高校卒業後、ニューヨークのコロンビア大学、ジュリアード音楽学院に進学。モンゴ・サンタマリア、ディジー・ガレスピー、ハービー・マン、スタン・ゲッツらと共演し、66年には自らのバンドで初のオリジナル・アルバム『トーンズ・フォー・ジョーンズ・ボーンズ(Tones for Joan’s Bones)』を発表した。
60年代後半に、当時ジャズ界をけん引してたマイルス・デイヴィスのグループに加入し、脱退したハービー・ハンコックに替わってエレクトリック・ピアノを担当。ウェイン・ショーター、トニー・ウィリアムス、ジョー・ザヴィヌル、ジョン・マクラフリン、デイブ・ホランドらと、大ヒット・アルバム『イン・ア・サイレント・ウェイ(In a Silent Way)』(69年)『ビッチェズ・ブリュー(Bitches Brew)』(70年)のレコーディングなどに参加、ロックやファンクの影響が強いとされるデイビスのエレクトリック・ジャズ路線を支えた。
70年にホランド、アンソニー・ブラクストンらと結成した「サークル」で活動。72年にスタンリー・クラークらと「リターン・トゥ・フォーエヴァー」を結成し、ラテン音楽の要素を取り入れたアルバム『リターン・トゥ・フォーエヴァー(Return to Forever)』を発表、フュージョンの草分けとして大ヒットした。特に2枚目アルバム『ライト・アズ・ア・フェザー(Light as a Feather)』(72年)収録の「スペイン(Spain)」は彼の代表曲として知られる。
その後はフュージョンとアコースティックでのバンド活動を一時並行させたほか、マイケル・ブレッカー、スティーブ・ガッド、ロイ・ヘインズ、エディ・ゴメス、ハービー・ハンコック、ゲイリー・バートン、ボビー・マクファーリンなど多数のジャズ・ミュージシャンらと共演。クラシックのオーケストラなどとも演奏活動を行ったほか、ソロやデュオ、トリオなどさまざまなスタイルで数多くのアルバムを残した。若手ミュージシャンの教育に尽力したことでも知られる。
今年3月の「第63回グラミー賞」でも、クリスチャン・マクブライド、ブライアン・ブレイドという現代最高峰のプレイヤーと組んだトリオで行った世界ツアーの演奏を収めたアルバム『トリロジー(Trilogy)2』が「最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム」にノミネートされている。
It is with great sadness we announce that on February 9th, Chick Corea passed away at the age of 79, from a rare form of…
Chick Coreaさんの投稿 2021年2月11日木曜日