トミー・リピューマは米エンタメ業界を代表する音楽プロデューサーである。1960年代から現在(2017年3月に死去)までに、彼が手がけたアルバムの売り上げはおよそ7500万枚。アメリカの主要な音楽レーベル(リバティ、ブルーサム、A&M、タイム・ワーナー、エレクトラ、GRPなど)を舞台に、次々と俊作をつくり上げてきた名伯楽だ。
これまでの功績を数えると枚挙に遑がないが、昨今のジャズ界においてはダイアナ・クラールを世に出し、マイルス・デイヴィス晩年の諸作品を手がけたことでも有名。また、ジャズ・フュージョン最大級のヒット作として知られる、ジョージ・ベンソン『ブリージン』も彼の仕事だ。
そんなトミー・リピューマの人生を描いたのが本書『トミー・リピューマのバラード ジャズの粋を極めたプロデューサーの物語』(シンコーミュージック刊)。
これを著したのは、リピューマの仕事仲間でもあったミュージシャンのベン・シドラン。生き馬の目を抜く音楽業界でいかにして名を上げ、成功を手に入れたのか。あの名作はどんな経緯で制作されたのか─。音楽業界が最もダイナミックだった時代のさまざまなエピソードとともに、トミー・リピューマの仕事ぶりが生き生きと描かれる。
音楽ファンのみならず、現代の「音楽ビジネス」と向き合うミュージシャンやエンタメ関係者にとっても、有益な学びを得られる一冊。
『トミー・リピューマのバラード ジャズの粋を極めたプロデューサーの物語』
ベン・シドラン(著)/吉成伸幸、アンジェロ(訳)
発売元:シンコーミュージック・エンタテインメント
発売日:2021年3月29日
主な登場アーティスト:
ジョージ・ベンソン、マイルス・デイヴィス、ポール・マッカートニー、バーブラ・ストライサンド、ダイアナ・クラール、マイケル・フランクス、ジョー・サンプル、ランディ・クロフォード、ニック・デカロ、ほか