2023年4月14日(金)に「東急歌舞伎町タワー」(東京都新宿区)内にオープンする映画館「109シネマズプレミアム新宿」のシアター音響を坂本龍一が監修することがわかった。施設内のラウンジなどで使用する複数の楽曲も坂本が書き下ろすという。
「109シネマズプレミアム新宿」は、2014年12月31日に58年の歴史に幕を閉じた「新宿ミラノ座」跡地に「109シネマズ」の新ブランドとして新たにオープンする、上質な鑑賞環境とおもてなしを提供する8スクリーン・総席数752席のプレミアムシアター。全席プレミアムシートで、全シアターにハイスペックな映写・音響設備を備えるほか、坂本とのディスカッションから実現したアイデアである35mmフィルムの上映が可能なシアターも用意。
音響システムは、109シネマズオリジナル規格のプレミアムサウンドシアター「SAION」を基盤に、坂本の監修下で設計されたより極限までリアルな音を追求した「SAION -SR EDITION-」を導入。多彩な表現を実現した先進の音響テクノロジーで理想の音をチューニングし、各コンテンツの魅力を最大限に引き出すことができるという。
坂本龍一 コメント
・映画館やミラノ座・新宿への思い
60年代後半、僕は新宿の高校に通っていたので入学した当初から大きな好奇心をもって新宿を隈なく徘徊しました。入学した4月には新宿中のJazz喫茶を訪ね歩いてお気に入りの店をいくつか決めて早速出入りし始める、制服制帽のまま。次に新宿中の映画館をチェックし、その上映傾向を調べる。人生であれほど映画をたくさん観たのもやはりこの高校生活の期間でした。新宿で学んだものは僕を根本的に変えたと思います。60年代末は音楽、演劇、映画、文学、学問など、あらゆるものが劇的に変革された時期であり、その中心が新宿だったのです。・このプロジェクトに参画した理由
僕が信頼する音響システムを提供する会社を運営する友人からこのプロジェクトに声をかけられました。彼らと一緒なら本当にクヲリティーの高い音を提供する映画館にできるだろうと思い、監修者として参加することにしたのです。また、常に最高の音響作りを目指す彼らを指名した109シネマズさんの姿勢にも共感しました。音響システムはスクリーンの後ろにスピーカーを組んでいますが、高性能サウンドシステムと高度なチューニング技術により、スクリーンの存在を感じない、「曇りのない音」を目指し設計されています。スピーカーはもちろん、オーディオケーブルやアンプなど細部にこだわり、最上の音響を楽しめる劇場ができたと自負しています。・映画文化・フィルム映写機への思い
109シネマズのみなさんと意見交換をした際に、「日本ではフィルムの上映ができる映画館がほとんどなくなっている、いまこそ、改めてフィルム上映のできる映画館をつくってほしい」と提案したことを真剣に受け止めていただき、チームのみなさんはすぐに35mm映写機を調達してくれました。フィルム映画の文化を継承するためにフィルム上映も可能なシアターがここに用意されています。本物の映画愛にあふれた方々が作り上げた劇場です。