投稿日 : 2022.12.29

佐久間由梨(早稲田大学教授)が選ぶ「2022年のベスト」3作品

佐久間由梨
【特集】あの人が選んだ「2022年のベスト3」

佐久間由梨
早稲田大学 教育・総合科学学術院 教授
アフリカ系アメリカ人文学、ジャズ、フェミニズムを研究しています。2022年は、ジャズ文学、テイラー・スウィフトとフェミニズム、戦後日本の歌謡曲(江利チエミさんや美空ひばりさん)と原信夫とシャープス&フラッツをはじめとするジャズ・バンドの関係についても研究していました。

大西順子
『Grand Voyage』

大学生だったころから大西順子さんのファンです。『プレイ・ピアノ・プレイ』(1996)はもう何度聴いたことか。聴き手を別世界へといざない、オーディオで聴いていても、まるですぐそばに演奏している肉体があるかのように聴こえる。今年は『Grand Voyage』のライブにも行くことができました。思い出深い一年にしてくれた作品です。


Medicine Singers
『Medicine Singers』

ネイティヴ・アメリカンの儀式音楽を継承するグループが、イクエ・モリ、ララージ、今年39歳で亡くなったジェイミー・ブランチ等と共演する一枚(ジャケットのサイケな絵もブランチによるものです)。切れるような鋭さが持ち味のブランチのトランペットが、本作ではインディアン・チャントと共におおらかに響いています。


Cameron Graves
『Live from the Seven Spheres』

カマシ・ワシントンやサンダーキャットも参加した『Planetary Prince』(2017)と一緒に聴くと、本作(ライブ録音)の魅力がより伝わります。23分と長大、でも聴いてみるとあっという間にも感じる“The End of Corporatism”が好きです。ジャズ、フュージョン、メタル、クラシックが混淆する異世界・神秘系パワーサウンドが、なぜか懐かしく心に染みます。

【佐久間由梨 「ジャズとアメリカ文学」講座】

早稲田大学エクステンションセンターで「ジャズとアメリカ文学」という一般向け講座を担当します(2023年2月18日~3月11日, 土曜日, 10:40~12:10, 全4回, 対面+オンラインのハイブリッド)。今年はブラック・ライヴス・マター運動(「黒人の命は大切」という意味の制度的人種差別への抗議運動)が巻き起こる現代、ジャズ・ミュージシャンたちが、ジャズに詩を融合させるアプローチで生み出したジャズ・ポエトリー作品も読みます。

詳細は以下、早稲田大学エクステンションセンターHPでご確認ください。
https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/57488/