田中俊行
ロックバー叫び 店主
音楽を『聴く』から『体験する』にアップデートするをコンセプトにした『ロックバー叫び』を2018年東京鶯谷に開店する。高音質な音響と丁寧な接客が評価され、国内国外問わず多くの顧客に愛されるロックバーとなる。
悲しくて目を覆いたくなる時も、仲間と愛を分かち合う時も、もちろん酒を飲む時も、いつも音楽に救われていたように思います。2023年の大切な3枚を選びました。
IGGY POP
『EVERY LOSER』
2023年は1月リリースのこのアルバムから幕が開けた。
ゴッドファーザー・オブ・パンクの名に相応しい傑作。近年のイギー・ポップは持ち味である不適で挑発的な歌唱を控えている印象があった。年齢を考えると仕方ないのかなと勝手に思っていたが、円熟のロックンローラーには要らぬ杞憂だった。死ぬまでロックしてくれよイギー・ポップ!
ROLLING STONES
『HACKNEY DIAMONDS』
チャーリー・ワッツ亡き後、ストーンズの行き先を固唾を飲んで見守っていたファン達の心はこのアルバムのリリースによってどれだけ救われただろう。数多の音楽配信サービスが溢れ音楽を聴くことの価値と感動が薄れていた不感症の自分にとって、ローリングストーンズの新譜を聴けたことは2023年最大の喜びの1つ。
OZRIC TENTACLES
『LOTUS UNFOLDING』
幾重にも重なる音のレイヤーがサイケデリックへと導く幻覚剤のような音楽。70’sのGONGのようなスペースロックに、ジャズ、エスニック、UKレイヴなどの要素が高密度に配合されており全貌の輪郭すら捉えることができない。
複雑な音楽であるが不思議とすんなり聴けるので、頭を空っぽにして音に身を任せるのが心地よい。