投稿日 : 2023.12.30
パンス(ライター/DJ )が選ぶ「2023年のベスト」3作品
パンス
ライター、DJ、年表制作者
テキストユニット “TVOD” で活動。TVODとしての著書に『ポスト・サブカル焼け跡派』、『政治家失言クロニクル』。 ほか『アジア都市音楽ディスクガイド』の監修も手がける(菅原慎一との共同監修)。2021年には、1968~2020年の社会/文化史をB1サイズポスター4枚にまとめた『年表・サブカルチャーと社会の50年』(百万年書房)をリリース。近現代全てを把握するべく現在も増量中。
Mogwaa『Translucent』
韓国、ソウルを拠点に活動するトラックメイカー。ギターサウンドを軸にしたバレアリックなハウスを多数制作し、すでに世界中で人気だが、本作はより内省的なアプローチに。フュージョン、AORがギターとシンセの中に溶け込むサウンドの快楽は言うに及ばず、どこか冷めた、ドゥルッティ・コラムを想起させるほの暗い側面が最大の特徴。
Spencer Doran『SEASON: A letterto the future (Original Soundtrack)』
現代アンビエントの筆頭による、ゲームのサウンドトラック。不思議な世界を自転車であちこちさまよう、みたいな内容とのことで、まさにそんな設定にふさわしいサウンド。静かに終わってゆく世界をのんびり旅するような、そこはかとない不安と心地よさが同居している。
Pearl & The Oysters『Coast 2 Coast』
ジャケットだけ見て「現代シティ・ポップかしら」と思ったら良い意味で裏切られる。ほどよく力の抜けたメロウなトラックに、ラーバンド的なエレポップ、90年代ラウンジ・ミュージックの要素がまぶされた魅惑の世界。ステレオラブのレティシアも参加。Stones Throwはたまにこういう変化球を出してくるのが頼もしい。