投稿日 : 2017.12.20 更新日 : 2022.10.07
DTMって何ですか?【ジャズ系も楽しめるDTMの世界/vol.1】
文・中村望
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鈴木 なるほど。じゃ、具体的にはどんな作業をやるの?
中村 先ほど紹介したMIDIで演奏データを入力したり、録音した楽器や声などの録音データを、マウスやキーボードを使って横や縦に並べていく作業などですね。
鈴木 縦横に並べる?
中村 基本的に、DAWソフトには横ラインと縦ラインがあるんです。横ラインは時間軸を表していて、左から右に進むにつれて10秒、20秒と楽曲が進行していきます。このラインに沿ってAメロ、Bメロみたいな感じでデータを切ったり貼ったりして並べます。で、縦ラインはギター、ピアノ、ドラムといったように各楽器が縦に並ぶようになっているんです。ほら、こんな感じで。
鈴木 おお、なるほど。楽器それぞれの「音を出すタイミング表」みたいなものを作って、それらを合奏させるわけね。まさに、マウスで曲を作る感じだ。
中村 パソコン上の作業なので、マウスやキーボードを触ることが多いですけど、自分が弾いた生演奏やボーカルを反映させることもできるし、自由度も高いですよ。理論的な知識がなくても、最近ではコードやスケールをパソコンが調整してくれる機能なんかもあります。
鈴木 ふ~ん。でもさ、こういうソフトって高いんでしょ?
中村 確かにプロ仕様だと10万円近くするものもありますし、プロユースの機材を揃えたら数十万~数百万なんてこともあります。けど、入門用ソフトもたくさん出ていて手頃な値段で始められるものもたくさんありますから。
鈴木 とりあえず、お試しで体験できるコースとかないの?
中村 あ、鈴木さん、Mac持ってますよね。「Garage Band」って入ってるでしょ? あれは無料ですよ。
鈴木 ってことは、普通のパソコン1台持っていれば、とりあえず簡単な曲はできるってこと? 俺のPCは貧弱だけど…。
中村 例えばMacを例に挙げると、いまは「Mac Book Air」や「iMac」なんかの低価格ラインがありますよね? これらに標準装備されてるスペックって、じつは音楽制作するにはすでに十分なパワーなんです。
全世代に“ひとり”バンドブーム到来?
鈴木 へぇ~、「パソコンで音楽制作」っていうと、かなりのハイスペックが要求されると思ってた。しかも「Garage Band」だっけ? 最近のMacには音楽ソフトがインストールされてるんだ。
中村 このソフトだけで曲作りに必要な最低限のものが揃ってますよ。
鈴木 ん? そのソフトって、iPhoneやiPadにも入ってない?
中村 そう! それです。極端な話、iPhoneやiPadを持っていれば、それで曲を作ることも可能なんですよ。このソフトにはピアノやギター、ドラム、ベース、サックス、シンセサイザーといった多種多様な楽器の音源が入っていて、タッチパネルやパソコンのキーボードを鍵盤代わりにして、演奏や打ち込みもできるんです。
鈴木 すげー! なんか、楽しそう。
中村 さらにMacには内臓マイクも付いてますよね? これを使って声や歌をレコーディングすることもできますよ。
鈴木 付属ソフトでここまでできるの!?
中村 もちろん最初からこうだったわけではなくて、パソコンやソフトが進化したことで、標準ソフトでもここまでできるようになったわけです。操作も格段にシンプルになったし、今から始める人がホント羨ましい(笑)。
鈴木 っていうか、他の機材なんか要らないじゃん…。
中村 簡単な作業ならこれで十分かもしれないですけど、もっと突っ込んだことをしたければ上級ソフトや専用の鍵盤とか、音質を上げるためにオーディオ・インターフェース(サウンドカード)があった方が良いですね。
鈴木 操作も簡単そうだしさ、俺でも何かできそう!(聞いてない)
中村 じゃ、実際に軽く作ってみましょうか?
鈴木 あはは、片手間にチャチャっと作ったわりには、結構リアルな雰囲気じゃないの。
中村 でしょ? 付属の音色って、昔はいかにも安物のペラペラした音でしたけど、今はかなりリアルに再現されてるんです。もちろん、あくまでコンピュータですから人間の演奏を完璧に再現できるわけじゃないですけどね。
鈴木 いや、それでも十分に面白いし、すごい可能性を感じるよ。楽器は弾けないし楽譜も読めないけど“曲のアイディアやイメージは持ってる”って人は大勢いると思うんだよね。
中村 そうですね。もちろん、楽器が弾けたり、コードの概念がわかってる方がいいですけどね。DTMをやりながら楽理も学んでいく、っていうのもいいと思います。いまはGarage Bandで作った曲をCDにしたり、データにしてネットで配信なんかもできるので。
鈴木 なんだか凄い時代だな~。これだけ簡単なら、昔のバンドブームみたいに若者たちが飛びつきそうだよね。
中村 実際そうなっていますよ。
鈴木 目に見えないところで“ひとりバンド”ブームが起きてる?
中村 最近は小学生でもiPhoneなんかで音楽作品をつくれる時代ですから。敷居が下がったことで、若い子でもデビューできる時代なんです。実際に販売されている楽曲の中には「Garage Bandで作った」ってことを宣言してる作品もあるくらいです。まあ、Garage Bandはあくまで簡易作曲ソフトなんで、興味があったら市販されてるソフトも見てみてください。
鈴木 うーん、俺は無料のヤツでいいや。
中村 たとえば、Garage Bandの上位機種「Logic」なんかは2万3800円で買えますよ。昔は10万円近くしたのに…(泣)。音源も楽器ごとに色んな種類のものが出ていて“全部入り”なんてDAWソフトもあります。安いものだと1万円以下でGarage Bandよりも高音質で表現力の高いものもありますよ。有名どころの廉価版だとこんな感じです。この中だと、Logic Pro Xが圧倒的にいいですけどね。
鈴木 えぇ〜マジで? 大人の趣味としては、かなりお手頃な価格だよねぇ。
中村 そうですよね。ちなみに鈴木さんはどんな曲を作りたいですか?
鈴木 若くして亡くなったジャズマンが、もし生きていたら「こんな編成でこんな音楽をやっていたはず」みたいな空想ジャズを作って遊びたいなぁ。
中村 ああ“ジャコ・パストリアスのその後”みたいな妄想は面白いですね。
鈴木 あと、パット・メセニーの腕が6本あったら…とかな。
中村 ……。