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【東京・明大前/dodd(ドッド)】クラフトジン&ラムが楽しめる新感覚レゲエバー

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「音楽」に深いこだわりを持つ飲食店を紹介するこのコーナー。今回は2022年11月にオープンした、明大前(東京都世田谷区)のクラフトジン&ラム専門レゲエバー『dodd(ドッド)』を訪問。一般的にレゲエバーと聞いてイメージするスタイルとは一線を画す、都会的でスタイリッシュな空間でした。

「百聞は一見に如かず」なミュージックバー

京王線と井の頭線の主要駅となる明大前駅から徒歩約2分、甲州街道沿いにあるクラフトジンとラムの専門店『dodd(ドッド)』。ウッディなフレームと、通りからも店内の様子が見える大きなガラスの入口は、カフェのような佇まいで気軽に入ることができ初心者にも優しい。

店名の『dodd』は、ジャマイカの老舗レーベル『STUDIO ONE(スタジオワン)』の創設者兼プロデューサーCoxsone Dodd(コクソン・ドッド)氏の名前から拝借したものだ。

「お店を始める前は、レゲエ専門のレコード店(ダブストア)で16年ほど働いていました。その会社がSTUDIO ONEの正規代理店だったこともあって、ドッドさんの奥様のお葬式に参列させていただいたりもしたんです。レゲエを好きになるきっかけのレーベルでもあり、店名に使わせてもらいました」。そう語るのは店主の北田大策さん。

レゲエバーを謳っているが、店内ではダブやアンビエントが多く流れる。

「レゲエだけを流していても面白くないので、他ジャンルでもレゲエの要素が感じられるものは積極的にかけています。ダブはレゲエの大きな要素ですし、今やその手法はさまざまな音楽に取り入れられています。レゲエマナーに沿っていなくても、ダブを感じることができればかけています。そこは完全に自分チョイスですね」

レゲエを軸に派生するdoddならではの音世界

1979年生まれの北田さんは『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の人気企画「高校生制服対抗ダンス甲子園」を観て、小学6年生からヒップホップやレゲエに興味を抱くようになった。レンタルCDからスタートし、中学生になる頃には「レゲエを深く聴くには7インチだ」と気づき、レコードを買うようになったという。

「いろんな音楽を聴いてきましたが、90年代後半からはレゲエ一筋です。ダンスホールも好きでしたが、どちらかと言えばヴィンテージがメインです」

レゲエのヴィンテージとは、1960~1970年代のスカ、ロックステディおよびルーツレゲエあたりを指す。店内には貴重なコレクションがたくさんあるが、ほとんどが7インチなため頻繁にはかけることができない。

「最初は7インチだけをかけようと思っていたんです。でも、(接客があるので)営業中はLPでないと無理だと気づいて。今はアルバム両面をかけるスタイルで、オープン時はスカやロックステディ、週末はディスコやハウスっぽいレゲエ、ゆっくりした時間はダブなど、時間帯やお客さんの雰囲気を見てチョイスしています」

お店に合うさまざまなジャンルのダブを探すため、現在は毎日2時間ほど各国のサイトをチェックしているという。

doddを象徴する3枚。(L→R)TYRONE『LOVERS DUB』UKらしいソリッドなダブ。バーミュージックにフィットする甘めの曲も。 KEITH HUDSON『PICK A DUB』ジャマイカの変態的プロデューサーの作品をあえてセレクト。 JONNY NASH『POINT OF ENTRY』フォークのギタリストだがリバーブのかかり具合いにダブを感じるという

レコードを一切飾らないシンプルでモダンな空間

生粋のレゲエ好きではあるが、あくまでも音楽として好きだったこともあり、北田さんはこれまで網シャツを着たことがないという。90年代中頃のダンスホールのライブポスター以外、「dodd」の内装からレゲエの要素がない理由もそこにありそうだ。

「デザイナーさんには、とにかくシンプルにしたい、レゲエ色は一切出したくない。その2点をお願いして、話し合いながらデザインを詰めていきました。照明デザイナーや大工さんも同世代だったので、ニュアンスだけで伝わりました」

店内の照明はオーダーメイドで、所蔵している3000〜4000枚のレコードもすべて収納するなどミニマムな空間を目指した。スピーカーはJBLの4311、アンプは2000年代初頭のラックスマン、ターンテーブルはSL-1200MK3、ミキサーはDJM-350という構成。

「ヴィンテージの音響機器は壊れやすいので避けました。大音量で流すわけではないので、スピーカーもヴィジュアルで選んだ感じです。今後、徐々に音響も手を加えていきたいですね」

クラフトジンを掘る楽しさはレコードと似ている

会話を邪魔せず、音の細部も聞こえ、低音もしっかりと鳴る。目線の先には多種多様なクラフトジンとラムが並ぶ。その味をしっかり味わってもらうため、ストレート、ロック、ソーダ割り、トニック割りで提供している。

「バーと言えばカクテルのイメージですが、一般の方はメニューを見てもわからない人がほとんどだと思うんです。そのハードルを下げる意味もあってジンを選びました。クラフトジンは種類がたくさんあるので、そこから選ぶだけでもカクテル代わりになる。甘いのをください、フルーティなのをください、苦いのをくださいといった頼み方ができるんです。世界中から新しいジンが次々と出てくるので、レコードを掘るのと似た感覚がありますね」

レゲエと親和性の高いラムも、最近はフレーバーごとに選べるほど充実しているという。店内はカウンター9席、壁際でのスタンディングで12人程度入れるゆったりとした空間だ。

「DJブースを常設しているので、イベントもやりやすい空間を考えてこうしています。壁面を使えば展示もできます」

古着屋さんのポップアップやシルバーアクセサリーのイベントなど、気のあったお客さんのお願いを受けて、2ヶ月に1回程度イベントもおこなっている。最後に、今後の展望について聞いてみた。

「お酒もレコードも毎月新しいものを入れているので、マンネリ化はしないと思います。クラフトジンはブームですけど、まだ一般的ではないので、その面白さを広く伝えていきたいです」

取材・文/富山英三郎
撮影/高瀬竜弥


・店舗名 ドッド
・住所 東京都世田谷区松原2-43-7 1F
・電話番号 03-6379-1552
・営業時間 17:00~26:00
・定休日 月曜

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